体外衝撃波治療
SHOCK WAVE


体外衝撃波治療(ESWT)とは
体外衝撃波治療(Extracorporeal Shock Wave Therapy:ESWT)とは、体の外から高エネルギーの音波(衝撃波)を患部に照射することで、疼痛の軽減や組織の修復促進を目指す治療法です。
もともとは尿路結石を砕く目的で開発された医療技術ですが、現在では整形外科やリハビリテーション分野でも広く応用されており、特に慢性疼痛や難治性の腱障害、筋骨格系の疾患に対して有効性が認められています。
衝撃波の仕組み
衝撃波とは、空気中や体内を高速で伝播する圧力の波であり、短時間に大きなエネルギーを持っているのが特徴です。
この衝撃波を体外から体内の特定の部位(患部)に集中的に照射することで、以下のような生体反応が引き起こされます。
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微小な損傷の誘発による組織修復の促進
衝撃波が組織に与える微細な刺激により、患部で血流が改善し、炎症のコントロールや細胞の修復が活性化されます。
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疼痛緩和効果
神経終末の過敏性が減少することで痛みが軽減されると考えられています。また、内因性の鎮痛物質(エンドルフィン等)の分泌促進も示唆されています。
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石灰の破砕
石灰沈着性腱炎などでは、衝撃波によって沈着した石灰が細かく砕かれ体内で吸収されやすくなります。
適応疾患
体外衝撃波治療は以下のような疾患に対して有効であるとされています。
- 石灰沈着性腱炎
- 足底腱膜炎(足底筋膜炎)
- アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
- テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
- ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
- 大転子部痛症候群
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 腱付着部症
- 慢性筋筋膜性疼痛
- 疲労骨折や偽関節(骨癒合不全)に対する骨形成促進 など
特に、他の保存療法(薬物療法、理学療法、装具療法など)で十分な効果が得られなかった慢性の腱障害や疼痛性疾患に対しては、ESWTが新たな治療選択肢として注目されています。
治療方法と流れ
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診察・評価
医師による診察・画像検査(X線やエコーなど)を通じて、ESWTの適応となるかを判断します。
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治療計画の立案
治療回数(通常は1週間隔で1~4回程度)、照射部位、エネルギーレベルなどを個別に設定します。
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治療の実施
専用の治療機器を用いて、患部にジェルを塗布し、衝撃波を照射します。1回の治療時間はおおよそ10~20分です。
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治療後のケア
治療直後は軽度の痛みや腫れが出ることがありますが、多くは数日以内に軽快します。通常は特別な安静や入院は不要で、日常生活もそのまま継続できます。
治療の種類と特徴
体外衝撃波治療には主に以下の2種類があります。
集束型(Focused Shock Wave)
骨や深層組織に対する治療に適しており、慢性的な筋腱障害や偽関節や疲労骨折などの骨病変にも用いられます。
拡散型(Radial Shock Wave)
主に筋膜などの治療に用いられます。出力は低めで、治療中の痛みも少ないのが特徴です。
※当院は集束型を採用しています。
副作用と注意点
体外衝撃波治療は比較的安全な治療法とされていますが、以下のような副作用が起こる可能性があります。
- 照射部位の赤み、腫れ、圧痛
- 治療中の痛み(特に高出力の集束型ESWT)
- 内出血や皮下出血(まれ)
以下のような場合や場所には治療ができません。
- 妊娠中や胎児
- 血液凝固障害のある方
- 悪性腫瘍がある部位
- 急性感染症
- 成長軟骨板
- 肺
- 脳・神経
治療効果と評価
近年ではPRP(再生医療)と併用することでより高い治療効果が得られるといわれておりますので、ご希望に応じて併用療法も行っております。
症例によってはエコーやレントゲンを見ながらより的確に患部へ衝撃波を照射することで治療効果を高めております。
リハビリテーションとの併用も治療効果を高めますので併用療法も可能です。
体外衝撃波治療は、メスを使わずに痛みを軽減し、組織の自然治癒力を高める新しい治療法です。
慢性痛や難治性の腱障害に悩む多くの患者様にとって、安全かつ効果的な選択肢となり得ます。
これまでの治療で十分な改善が得られなかった方は、体外衝撃波治療をぜひ検討してみてください。
使用機器
BTL-6000 FoCus®
BTL-6000 FoCus®は、BTL Japanが提供する集束型体外衝撃波治療機器で、筋骨格系の疾患やスポーツ障害の治療に使用されます。
この機器は、最新技術に基づいたデザインと高い耐久性を兼ね備え、スポーツ医学や整形外科領域での使用に適しており、患者様の早期回復をサポートします。
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下記までご連絡下さい。